
記念撮影。
葛飾支部は、昭和21(1946)年に東京都建築代理士会葛飾支部として発足し、今年創立80周年を迎えた。戦後復興期から高度経済成長、阪神・淡路大震災、東日本大震災を経て、耐震化、省エネルギー、空き家対策など、その時代ごとの社会課題に向き合いながら、地域に密着した建築士事務所の団体として活動を続けてきた。
懇親会では、80周年を記念して制作した『葛飾支部通信80周年記念号』が出席者に配布された。誌面には歴代支部長による座談会や支部の沿革、支部活動を振り返る数多くの写真が収録されており、会場にも展示された写真に足を止めながら当時を振り返り、世代を超えた交流の輪が広がっていた。
開会にあたり私の挨拶として、80年間にわたり支部を支えてこられた諸先輩方への感謝を述べるとともに、「地域社会や行政との信頼関係は、一朝一夕に築かれたものではなく、先人たちの不断の努力によって培われた貴重な財産である」と振り返った。また、近年の急激な社会変化を踏まえ、「VUCA(予測困難な時代)」において組織に求められるのは環境変化に柔軟に対応できる力であり、そのためには「あたり前を疑う」という姿勢を持ち続けることが重要であると述べ、葛飾支部が培ってきた「仲の良さ」と「先進的な学び」の伝統を大切にしながらも、新たな時代へ果敢に挑戦していく決意を表明した。
続いて、千鳥会長をはじめ、ご来賓の皆様から祝辞を賜り、葛飾支部がこれまで地域社会の発展や建築文化の向上に果たしてきた役割への評価と、今後への期待が寄せられた。また、多数のご来賓にご臨席いただいたことも、80周年の節目にふさわしい大きな喜びであった。
歓談の時間には、行政、関係団体、友好団体の皆様と会員が和やかに交流し、日頃の連携への感謝を伝え合うとともに、地域の建築行政や防災、まちづくりの将来について活発な意見交換が行われた。立場を超えて語り合う姿からは、葛飾支部が長年培ってきた信頼関係の深さと、地域に根差した活動の広がりを改めて感じることができた。歴代役員と若手会員がテーブルを囲み、支部創設当時の苦労話や建築行政の変遷、耐震診断制度の立ち上げ、省エネルギーへの取り組みなど、80年の歴史を語り合う姿が会場のあちらこちらで見られた。世代を超えた交流は、葛飾支部ならではの温かな雰囲気を感じさせるとともに、支部の歴史や理念を次世代へ継承する貴重な機会となった。
祝宴では、ヴァイオリン奏者NESORA氏、フラメンコギター奏者REN氏による情感豊かな演奏に加え、ミュージカル俳優の岡智氏、ソプラノ歌手小原知美氏による迫力ある歌唱が披露された。クラシックとフラメンコが融合した演奏と、美しい歌声が会場を華やかに彩り、出席者から大きな拍手が送られた。80周年という記念すべき節目にふさわしい心に残るステージであった。
葛飾支部は近年、木造住宅耐震化への取り組みに加え、「かつしか省エネ・再エネ・健康住宅普及促進連絡会(かつエネ)」を通じた断熱・省エネルギーの普及活動など、新たな社会課題にも積極的に取り組んでいる。地域住民への相談活動や行政との連携をさらに深めながら、安全・安心で持続可能なまちづくりに貢献していく姿勢は、80年間受け継がれてきた支部の精神そのものといえよう。
創立80周年はひとつの到達点であると同時に、新たな出発点でもある。80年の歴史を築いてこられた諸先輩方への感謝を胸に、会員ひとりひとりが新たな時代の担い手として歩みを進め、葛飾支部はこれからも行政や関係団体、地域住民との連携を深めながら、地域に信頼される建築士事務所の団体として100周年、そしてその先の未来に向けて挑戦を続けていきたい。

中村 靖雄(なかむら・やすお)
東京都建築士事務所協会葛飾支部支部長、株式会社ナカムラ建工
1967年 東京都生まれ/2014年 (株)ナカムラ建工代表取締役就任/2016年 日本工業大学大学院技術経営科修士(専門職)修了、現在に至る
1967年 東京都生まれ/2014年 (株)ナカムラ建工代表取締役就任/2016年 日本工業大学大学院技術経営科修士(専門職)修了、現在に至る
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