木造高層建築「Port Plus」見学会
事業委員会|令和8(2026)年6月24日(月)@横浜
河邑 石水(東京都建築士事務所協会事業委員会・渋谷支部、株式会社アトリエテン一級建築士事務所)

外観見上げ。

1階吹き抜け。*

9階セミナールーム(研修室)。

耐火被覆模型。
(撮影:越阪部 三男、*印を除く)
(撮影:越阪部 三男、*印を除く)
同施設は高層木造の先駆的事例として非常に人気が高く、人数も限られていることもあり見学申し込み受付から15分ほどで定員になったという。去る6月24日、会員12名が参加し、見学会が開催された。
「Port Plus」は、地上11階建て、高さ44mの規模を誇る、日本初の高層純木造耐火建築物である。柱や梁といった建物の主要な構造部材のすべてに木材が使用されており、大林組の次世代技術を結集した自社研修施設として機能している。
これまで中高層建築における木造化は、火災への安全性や構造強度の面から高いハードルがあったが、ここでは独自の3時間耐火木造部材を用いることでその課題をクリアしている。構造体そのものを純木造で成立させている点は、今後の都市建築における木材利用の可能性を大きく広げる極めて建築的価値の高い試みと言えよう。
当日は、大林組の社員の方にナビゲーターを務めていただき、丁寧な案内のもとで見学がスタートした。
まずは、9階に位置する木で構成された内装に吹き抜けR天井の開放的なセミナールーム(研修室)。木の温もりに包まれた大空間の中で建物のコンセプトや構造技術についての説明映像を視聴し、高層純木造を実現するための技術的アプローチを学んだ。
その後、実際に各フロアや諸室を案内していただいた。一歩足を踏み入れると建物全体に心地よい木の香りが漂い、室内の随所に施された豊かな植物が木造空間と美しく調和していた。写真や図面だけでは分からない「空間の快適性」を肌で感じるとともに、木材の現し仕上げの丁寧なディテールを間近で見学した。
解説のなかで特に、技術的に最も苦労した点として「柱と梁の剛接合仕口」のプロセスが紹介された。木造でありながらRC造やS造と同等の強度と剛性を確保するための接合技術と、その施工精度の追求は大林組の技術陣の熱意が感じられた。
今回の見学は、私たち設計者にとっても多くの刺激と気付きに満ちたものであった。これまで「木造の高層化」といえば遠い未来の技術のように感じていた部分もあったが、実際にその空間に身を置き、優れた意匠と高い安全性が両立している現場を目の当たりにしたことで、それがすでに「現実の選択肢」であることを強く実感させられた。現在、大型木造建築に対していろいろな補助金があり、それを利用してプロジェクトが進んでいるのが現実と思う。将来、いろいろなノウハウが一般的なものとなり、補助金がなくても普通に建築できるようになるといいと思う。
環境負荷の低減に向けて設計者が果たすべき役割はますます大きくなっている。図面だけでは得られない、五感を通じたリアルな技術体験の機会を提供していくことは、事務所協会における研修活動としても極めて有意義であったのではないかと思う。
お忙しい中、貴重な施設を快くご案内いただき、丁寧な解説をしてくださった株式会社大林組の皆様に心より厚く御礼申し上げます。個人ですと難しい見学会でした。協会には今後も会員の皆様のためになる魅力ある研修・見学会を楽しみにしています。

河邑 石水(かわむら・いわみ)
東京都建築士事務所協会事業委員会・渋谷支部、株式会社アトリエテン一級建築士事務所
1957年 三重県生まれ/1980年 早稲田大学卒業/1991年 株式会社アトリエテン一級建築士事務所設立、現在に至る
1957年 三重県生まれ/1980年 早稲田大学卒業/1991年 株式会社アトリエテン一級建築士事務所設立、現在に至る
カテゴリー:東京都建築士事務所協会関連















