第99回定時総会開催
令和8(2026)年6月15日(月)@明治記念館
文:小山 美季子(東京都建築士事務所協会理事・会誌専門委員会・台東支部)、高妻 昭子(東京都建築士事務所協会会誌専門委員会・江戸川支部)
写真:大平 孝至(東京都建築士事務所協会会誌専門委員会・台東支部)

 梅雨寒の雨がしっとりと降るなか、第99回定時総会が13時より「蓬莱の間」で開催された。司会は事務局の永田知世子氏。令和8年3月31日時点の会員1,667名に対し、定足数834名を上回る出席89名、書面・電子評決1,026名の計1,115名となり、総会成立が報告された。続いて武内敏幸副会長の開会宣言、杉本由美子副会長による「建築士事務所憲章」朗読、千鳥会長の挨拶が行われた。

定時総会会場。
挨拶する千鳥義典会長。
千鳥義典会長挨拶
 建築設計業界はかつてない変容の只中にあり、建築士事務所の役割は一段と高度化・多様化している。令和7年度は、事務所間の協力を基軸とする共創の理念を据え、会員連携の強化に取り組んだ。支部や各委員会が共通戦略の下で協力することで、本会の総合力を高め、社会的プレゼンス向上を図ってきた。
 また、令和5年度から進めてきた組織強化と経営基盤安定化のための中期事業計画は、具体施策を着実に推進し、令和7年度決算では予定を1年前倒しで収支を黒字化できた。活動費・経費の節減と新規施策受託による収益増が奏功したものであり、役員・支部長、会員各位の協力に深く感謝申し上げる。
 本計画は令和8年度に最終年度を迎える。4年間の成果と課題を総括し、次期へ確実に継承していく。さらに現在、総務財務委員会では2050年を見据えた長期ビジョンを検討している。これらの取り組みを通じ、本会の社会的価値を一層高め、会員事務所と業界の持続的発展に寄与していく。「社会課題に向き合い、建築・まちづくりの実務を通じ地域に貢献し、社会の発展に寄与する」これが協会の使命である。
議案の審議
 専務理事一任の声を受け、選出された議長団が登壇した。自己紹介の後、議長一任により議事録署名人2名が選任され、審議が開始された。
 小松達也専務理事から第一号議案「令和7年度事業報告の承認に関する件」について説明があり、続いて第二号議案「令和7年度収支決算の承認に関する件」について同氏より説明が行われた。監査報告は佐藤吉弥監事が代表し、提出書類が法令・定款に準拠し作成され、収支・財産状況が正しく示されていること、理事の業務執行に法令・定款違反がなかったことを報告した。
 事前にオンラインおよび書面で寄せられた意見・質問が読み上げられ、小松専務理事が回答した後、採決に移り、第一号・第二号議案はいずれも承認された。
 続いて第三号議案「役員の選任」について千鳥会長より説明があり、6月の理事会において小松専務理事の退任が承認されたことに伴い、同一業界関係者以外からの理事候補者として茂木竜一氏を推薦することが提案され、第三号議案は異議なく承認された。
 その後、令和8年度の事業計画と収支予算が報告事項として示された。
感謝状贈呈と小松達也専務理事挨拶
 今回退任された小松達也専務理事へ、千鳥会長より感謝状が贈呈された。続いて小松専務理事から以下の挨拶が述べられた。
 この度、身にあまる感謝状を頂戴し、深く感謝申し上げる。4年前の総会で専務理事を拝命し、会員各位の温かい支えのもと、その重責を果たすことができた。この場を借りて、深く感謝申し上げる。在任中は各委員会、イベント、懇親会等に参加し、会員の皆様の建築設計に対する真摯で熱い思いに触れさせていただいた。一方、建築士事務所の減少傾向や、建築士の社会的価値が十分認識されていない現状も残念に思っている。建築は住む、働く、学ぶ、楽しむといった人びとが社会生活を送る上で欠かせないもので、美しいまちなみや安全で快適な建築は生活に豊かさをもたらす。都市や建築を創造する建築士の役割は極めて重要であり、その評価向上は今後の課題である。
 専務理事を退任するが、しばらく相談役を務めることとなった。協会の発展と建築士の社会的価値向上に向け、引き続き誠意をもって取り組む所存であり、これからもご指導とご協力をお願いしたい。
会員増強優良支部表彰。八王子、江戸川、板橋、新宿、渋谷、千代田、港、葛飾の8支部。
表彰状贈呈
 続いて当協会に30年以上在籍され、本会の発展に寄与された会員の表彰がされた。今回は28事務所が表彰され、代表して北部支部の一級建築士事務所有限会社イトム建築工房の石橋勉氏に表彰状が贈呈された。
 次に会員増強優良支部について、会員委員会の神辺和幸委員長から読み上げられた。表彰されたのは、昨年に続き第1位の八王子支部、第2位の江戸川支部、第3位の板橋支部、以下入賞の新宿支部、渋谷支部、千代田支部、港支部、葛飾支部の計8支部だった。代表して八王子支部の佐藤武文支部長に表彰状が贈呈された。 最後に脇宗一郎副会長が閉会の辞を述べ閉会となった。
第52回東京建築賞受賞会場の様子。
古谷誠章選考委員会委員長講評。
受賞者講演。会長賞を受賞したKACH一級建築士事務所。(撮影:小山 美季子)
来賓の粟谷川哲雄東京都都市整備局技監。
第52回東京建築賞表彰式・受賞者講演
 15時15分より、第52回東京建築賞表彰式が「鳳凰の間」で、安藤暢彦・東京建築賞特別委員会委員長と職員の中村あざみ氏の司会により始まった。司会から、今回は三部門で計82点の応募があったことが報告され、選考委員紹介の後、各賞の入選作品が紹介された。
 古谷誠章・選考委員会委員長からは、戸建てと共同住宅を統合した住宅部門と一般部門(一類、二類)の3部門で審査が行われ、総数82点の応募のうち24作品を現地審査したことが説明された。最終審査会では、東京都建築士事務所協会会長賞1点、東京都知事賞1点、各部門の最優秀賞・優秀賞・奨励賞、さらにリノベーション賞4点、新人賞1点が選定された(詳細は『コア東京』2026年6月号参照)。講評の後、来賓として東京都都市整備局技監・粟谷川哲雄氏より挨拶があり、続いて各賞の表彰が行われた。
 受賞者講演では、会長賞「川崎朝鮮初級学校」についてKACH一級建築士事務所が登壇し、まず鄭愛香共同主宰より朝鮮学校の歴史と概要が紹介され、続いて笠井太雅共同主宰から受賞作品の講演が行われた。敷地条件やコスト制約を創造的に転換し課題解決に挑んだ本作への理解が深まる内容であった。
 最後に千鳥会長より、受賞者への祝意と審査員への謝意が述べられ、挨拶をもって式典は締めくくられた。
千鳥会長挨拶
 東京建築賞も第52回を迎え、作品の質が年々高まり、賞の社会的評価も着実に向上していることを心より嬉しく思うとともに、主催者としてその責任の重さを改めて感じている。私は審査には関与できない立場だが、受賞作のいくつかを現地に出向いて拝見した。設計者と同じ空気を吸い、その場に身を置くことで、作品に込められた思いをより深く受け止められた。
 今年は4件がリノベーション賞を受賞したが、ストック活用が重要となる時代に、新たな価値を生み出す取り組みが確実に広がっている。また、受賞作すべての作品は現代の課題に果敢に挑んだ力作であった。時を経るほどに美しく、愛され、その使命を果たしていくことを期待する。受賞者の皆様には、今回の成果を今後の創造的活動につなげ、更なる活躍と建築界への貢献を期待している。
(小山 美季子)
記者会見。TAAFボード前の会長および副会長、専務理事。
茂木竜一新専務理事。
記者会見
 17時から記者会見が行われた。本部からは千鳥会長、武内副会長、杉本副会長、脇副会長、安藤副会長、仲山副会長、砂川副会長、茂木専務理事が出席した。会長挨拶の後、副会長および専務理事の紹介と挨拶が続き、新任の茂木専務理事からは「TAAFの発展に全力で取り組む」との抱負が述べられた。
 その後、資料に基づき千鳥会長と武内副会長より、当会の略称を「東事協」から「TAAF(呼称:ターフ)」とすること、「当会活動の紹介」について説明があり、質疑応答へ移った。
質問:新しい中期事業計画の課題について、現時点で把握している点を伺いたい。
千鳥会長:現中期事業計画は、令和5年から令和8年までの計画の3年目を終えたところで、これから総括に入ります。今年度後半に課題を整理し、次期計画に反映する予定であり、現時点ではまだ取りまとめていません。
質問:中長期ビジョンは今年度中に発表されますか。
千鳥会長:総務財務委員会で議論を重ねており、今年度中に長期事業計画を発表し、それに沿う形で、令和9年度からの中長期事業計画を発表する予定です。
質問:設備研修について、設備設計者が減少しているため意匠設計者がその役割を担うという考えでしょうか。
武内副会長:設備設計者の減少が理由ではありません。分業化が進む中、建築基準法改正も踏まえ、意匠設計者が設備設計と一体的に取り組み、よりバランスの取れた設計につなげることを目的に企画したものです。
質問:アーキパートナーのマッチング状況について報告があれば伺いたい。
千鳥会長:登録事務所は100を超えています。多くの方に参加いただくことで効果が高まるため、日事連の首都圏ブロックにも参加を呼び掛けている。積算・設備など他分野の団体参加も進んでおり、今後さらに活発な運用を目指します。
(高妻 昭子)
懇親会。挨拶する千鳥義典会長と副会長、専務理事。
丸川珠代 衆議院議員、本会顧問。
菅野弘一 自由民主党東京都支部連合会幹事長。
小松大祐 東京都議会自由民主党幹事長。
東村邦浩 公明党東京都本部代表。
森村隆行 都民ファーストの会東京都議団団長。
高橋竜太郎 東京都都市整備局市街地建築部部長。
上野浩也 日本建築士事務所協会連合会会長。
懇親会
 総会および東京建築賞表彰式に続き、18時から懇親会が「蓬莱の間」で開催された。司会は職員の林真由美氏が務め、和やかな雰囲気の中で進行した。千鳥会長の主催者挨拶に続き来賓の皆様から温かいご挨拶をいただいた。
千鳥義典会長挨拶
 昨年より取り組んでいるブランディングの一環として当会の略称を「TAAF」とすることをメディア各社の皆様に発表した。来場者を迎える場所には新たにロゴの入ったバックボードを作成し設置しており、ご覧いただけたことと思う。
令和8年度は中期事業計画の最終年度に当たる。この4年間の成果と課題を総括し、次代に着実に継承するとともに、現在議論を進めている2050年を目標とする長期ビジョンを策定する。当会が果たすべき社会的役割と将来像を明確にし、これらの取り組みを通じて当会の社会的価値を一層高め、会員事務所と建築設計業界の持続的発展に貢献していきたい。
丸川珠代 衆議院議員、本会顧問
 現在、建築士制度のさらなる充実と人材育成を図るため、関係法令の改正に向けた議論を国会で進めているところである。具体的には、①卒業見込みで必要単位を取得している学生については在学中から受験を可能とし、登録には実務2年を要件とすること、②二級建築士は現行7年必要な実務経験を、受験前2年・受験後2年の計4年で登録できるようにすること、③建築士事務所が請負う業務は、現行の300㎡以上に限らずすべての規模について書面契約を義務化し、契約の透明性と信頼性を高めること、④建築設備士については受験時の実務経験を不要とし、より幅広い人材が専門資格を取得しやすくすること、などである。
 これらの改正は、若手人材の参入促進と業務環境の適正化を図るものであり、建築士制度の持続的発展に資する重要な取り組みである。皆様のご理解とご協力を賜りながら、より良い制度の実現に向けて力を尽くしてまいりたい。
菅野弘一 自由民主党東京都支部連合会幹事長
 建築士事務所協会の皆様には、東京の魅力ある都市づくりと安全な建築物の創造に大きく寄与いただいている。現在、高輪ゲートウェイ駅周辺をはじめとする大規模開発や都市基盤整備が進む一方、歴史的建造物を適切に維持管理し、次世代へ継承する取り組みも広がっている。また、「東京建築祭」の開催により、建築物への関心が一層高まっていることを実感している。
 一方で、資材高騰や人手不足、ホルムズ海峡の情勢など、業界を取り巻く環境は依然として厳しい。東京都としても課題解決に向けて努力を続けている。工期の遅れを防ぎ、資材の滞りを抑え、適切な建築監理を進めていただくことが出来るよう、それを支えることこそ議会の役割であり、皆様の力となれるよう尽力していきたい。
小松大祐 東京都議会自由民主党幹事長
 昨年末、東京はニューヨークを抜き世界第2位の都市となった。しかしその一方で、首都直下地震の危険性や建築インフラの老朽化、高齢化社会を迎える中でのユニバーサルデザインの推進など、都市を取り巻く課題は多岐にわたる。これからも建築士の皆様の力なくして、東京が世界一の都市となることは難しい。
 丸川衆議院議員を中心に、私たち都議会も建築士の皆様の知見を最大限に生かせる東京都政の実現を目指し、力を尽くしていく所存である。皆様とともに、未来の東京をより良い都市へと発展させていきたい。
東村邦浩 公明党東京都本部代表
 東京都の多様なインフラ整備は、建築士の皆様の力なくして前に進むことはない。現在、ホルムズ海峡の情勢により資材の到着が遅れ、価格高騰や不足、設計の見通しが立ちにくいなど、厳しい状況が続いている。この夏は暑さ対策のための建設労務費を東京都が支援し、さらに原油高による資材高騰で着工から完工までの間に価格が上昇した場合には、契約を柔軟に見直す方針も示されている。こうした支援策を活用し、思う存分設計に取り組んでいただき、東京の街をさらに元気にしていただきたい。
森村隆行 都民ファーストの会東京都議団団長
 本日は略称「TAAF」とロゴがお披露目され、親しみやすい名称であると感じている。都議団のメンバーにも積極的に紹介していきたい。日頃より都政、とりわけ魅力ある東京のまちづくりや気候変動対策、震災への備えにおいて、建築士の皆様が欠かせない存在として活躍されていることに深く敬意を表する。現在、省エネ性能の高い住宅の普及は一層重要性を増し、耐震化も補助拡充が進む局面にある。今後も必要な取り組みを着実に進めるため、都民ファーストの会は建築士の皆様とともに東京の未来を支える施策に全力で取り組んでいきたい。
高橋竜太郎 東京都都市整備局市街地建築部長
 東京都は現在、「2050東京戦略」に基づき、誰もが安心・安全に暮らせる都市の実現や脱炭素社会の構築に向けて取り組みを進めている。こうした中、貴協会には建築士事務所の登録業務に加え、建築物の耐震化・省エネ化を推進するためのアドバイザー派遣など、多方面でご尽力いただいている。東京都では本年3月に耐震改修推進計画を改訂し、令和17年までに特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化率を100%とする目標を掲げ、沿道や住宅の耐震化を一層強化することとした。建築士の皆様の支援により、沿道建築物の耐震化率は90%近くまで進み、住宅の耐震化率も90%を超えている。また昨年4月には改正建築基準法等が施行され、大きな制度改革が行われた。貴協会には建築士サポートセンターを開設いただく等、改正法の円滑な施行に向けて多大なご協力を賜ったことに深く感謝している。
TAAFバックボード前にてお見送り。
 引き続き、東京建築士会、日本建築家協会関東甲信越支部、東京構造設計事務所協会、東京都設備設計事務所協会、日本建築積算事務所協会関東支部をはじめとする関係団体、一般企業、当会関係者の来賓紹介が行われ、日本建築士事務所協会連合会の上野浩也会長より、力強い乾杯の挨拶を頂いた。懇親会は終始和やかな雰囲気に包まれ、参加者同士の交流も一層深まった。最後は、当会の児玉耕二名誉会長から温かい挨拶と締めの言葉が述べられ、盛会のうちに閉会となった。
(高妻 昭子、一部 小山 美季子)
小山 美季子(こやま・みきこ)
東京都建築士事務所協会理事・会誌専門委員長・広報副委員長・台東支部、アーキ・コヤマ一級建築士事務所
1961年 鳥取県生まれ/住宅メーカー、インテリアデザイン事務所勤務/2011年(株)ノムラプロダクツ入社、乃村工藝社グループ再編により2022年~2026年(株)ノムラアークス/2026年~現職
高妻 昭子(こうづま・あきこ)
東京都建築士事務所協会江戸川支部副支部長、(株)大和創建一級建築士事務所
大平 孝至(おおひら・たかし)
東京都建築士事務所協会会誌専門委員会副委員長・台東支部、株式会社ダイリン一級建築士事務所
1984年 東京電機大学建築学科卒業/株式会社ダイリン一級建築士事務所勤務。マクドナルド、松屋、鳥貴族等、チェーン展開の飲食店の建築設計及び店舗デザイン設計をする
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