東京消防庁からは、山𣘺大輔予防部副参事、南野秀司予防課建築係長、以下11名にご出席いただき、本会からは杉本由美子副会長、小松達也専務理事以下、Web参加を含め13名が出席した。以下東京消防庁からの連絡事項を中心に報告する。
消防用設備等の設置単位に係る新基準と旧基準の関係及び補足(令和6年4月1日施行)
改正建築基準法に基づく防耐火別棟の準用等に伴い令8条の内容が改正された。主なポイントは下記の通り。・令8条第一号【開口部のない壁】基本的な考え方は変わっていないが区画を形成する壁がALC等の乾式壁でも良くなった。床についても同様。(現状は該当製品がない)
・令8条第二号【渡り廊下等】建築基準法において法改正に伴い「防耐火別棟」の概念が取り入れられた。消防法においても消防用設備の設置単位を分割できることとした。(ただし建築基準法で適用した場合に限定)
・その他、令8区画の避難規定の適用について、運用方針を変更。(令和6年3月29日5予予第155号通知)
仮設防火対象物の防火安全対策の策定
従前、仮設防火対象物に対する基準がなかったが「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」において多くの特例処置がなされたことを受けこれを基準化した「防火安全対策」を策定中。合わせてキッチンカー等の政令別表一に該当する防火対象物や建築中の建物内に設置される工事現場事務所についても取り扱い基準を明確にするべく検討中である。(策定作業中)
火災予防条例等の一部改正について
総務省消防庁において固体燃料を用いた厨房設備の離隔距離に関する検証が行われたこと、および今般の電気自動車充電設備の増加、蓄電池設備の多様化、大容量化に対応し下記の通り火災予防条例が改正された。・別表第三の厨房設備の欄に「炭火焼き器」を追加
固体燃料を使用する厨房設備としての「炭火焼き器」の建築物等および可燃性の物品までの離隔距離を別表第三に新たに規定した。
・急速充電設備に係る基準の見直し
電気自動車等の急速充電設備のうち変電設備として規制されていた全出力が200kWを超えるものについて、コネクター型であることを条件として出力にかかわらず変電設備として取り扱わないこととした。(令和5年10月1日施行)
・蓄電池設備に係る基準の見直し
蓄電池設備について、規制単位を「kWh」に改めるとともに、蓄電池容量に応じて一定の出火防止装置や延焼防止措置を講じることで、火災予防条例への適合や届出が不要になるなど安全基準を整備した。(令和6年1月1日施行)
質疑応答
当協会からは下記の7点の質疑を行った。1. 付室に押出し排煙を採用する場合の給気ダクトについて
2. 同上の場合の押出し排煙ダクトの合流について
3. 同上の場合の扉の開閉力について
4. 消火活動拠点の機械排煙について
5. スプリンクラー設備緩和の消防法施行規則第13条区画について
6. 非常警報設備の鳴動方法について
7. 危険物政令における「一般取扱所」と「地下タンク貯蔵所」の境界について
紙面の関係でここでは紹介はできないが各質疑に関しても丁寧なご回答をいただいた。
なお、年1回開催されている本連絡会議は東京消防庁も消防法令に関する設計者の要望を吸い上げる場として重要視しており、今後の活発な意見交換に向け会員各位からも多くの要望を法制委員会に寄せていただければ幸いである。
吉田 博(よしだ・ひろし)
東京都建築士事務所協会中央支部、株式会社 ポリテック・エイディディ
1957年 東京生まれ/1981年 横浜国立大学大学院修了後、清水建設株式会社入社/2017年 株式会社ポリテック・エイディディ 代表取締役就任
1957年 東京生まれ/1981年 横浜国立大学大学院修了後、清水建設株式会社入社/2017年 株式会社ポリテック・エイディディ 代表取締役就任