VOICE
鈴木 文雄(東京都建築士事務所協会理事・研修委員会委員長・会誌専門委員会委員長・墨田支部、有限会社鈴木設計一級建築士事務所)
海の子 ホヤぼーや(気仙沼市HPより)
せとうちわたるくん
みなさんは「ゆるキャラ」をご存じですよね。“ゆるいマスコットキャラクター”の略で、命名者である漫画家のみうらじゅん氏によると「郷土愛に満ち溢れた強いメッセージ性」、「立ち居振る舞いが不安定かつユニーク」、「愛すべき、ゆるさを持ち合わせている」という3条件とのこと。博覧会などのマスコットや、企業や団体のイメージキャラクターに加え、地域の文化・歴史・名産品を紹介する観光キャラクターまで、今や大変な数のゆるキャラが存在するのではないでしょうか。
2009年に仕事で訪れた宮城県気仙沼で「ホヤぼーや」と目が合いました。頭がホヤ、ホタテのベルト、サメ皮のマント、サンマの剣というご当地キャラの王道ともいえる出で立ちで、当時小学生だった息子と似ていてついストラップを購入してしまいました。また、同年の日事連全国大会『愛媛大会』で「せとうちわたるくん」とも目が合いました。色違いの3体がいるのでどういうことかと調べたら、本州と四国が3つの橋で結ばれた記念のシンボルキャラクターとのこと。それぞれのゆるキャラには生い立ちと出で立ちに意味があり、それを読み解く技量を試される快感を覚えてしまいました。ここから現在に至るまで、地方で土産もの屋さんに立ち寄ると必ずご当地キャラを探し、いまやお菓子の缶5つにキャラクターが溢れています。
ゆるキャラならなんでもOKというわけではなく、自分なりの心をひかれる基準があります。「独創的なデザイン」、「ゆるく間抜け」、「そこでしか会えない」といったもので、その内ふたつを満たしたらグッズを買おうかなという感じ。みなさんご存じの「せんとくん」はリアルすぎて苦手ですが、ふたつを満たしたのでストラップを買ってしまいました。「くまモン」はいまや全国どこにでも生息していますが、デザインとゆるさが気に入っています。後に“復興”という役割も担うことになり、国民としては応援したい存在となりました。ゆるキャラには何かをPRする使命があります。つまりきっかけでありそのためには第一印象が大切ということになります。パッと見て気になるゆるキャラはその意味では優れた力を秘めているといえます。ぜひ、目が合いましたらその出会いを大切にしていただきたいです。
息子とたびたび地方に旅に出ますが、恐らく、ご当地キャラ探しをする私を白い目で見ています。「俺が死んだら全部やるから楽しみにしてろ」と言うと「いらねえ」と言われました。まだまだゆるキャラの良さが分かっていないようですね。日本人のキャラクターづくりの感性は海外でも高く評価され、ジャパニメーションという言葉が生み出されるようになった大きな要因ともいえます。ゆるキャラは日本の文化であり育てていくべきものとして、今後も、新たな魅力的なキャラクターとの出会いに期待し、白い目を背中に受けながら応援していきたいと思います。
鈴木 文雄(すずき・ふみお)
東京都建築士事務所協会理事・研修委員会委員長・会誌専門委員会委員長・墨田支部、有限会社鈴木設計一級建築士事務所
1984年 東海大学建築学科入学/1987年 同校中退、東京デザイナー学院建築デザイン科入学/1989年 同校卒業/有限会社鈴木設計一級建築士事務所入社/現在、同代表取締役
カテゴリー:その他の読み物
タグ:VOICE編集後記