応急危険度判定模擬訓練と木造耐震委員会活動
支部だより:たちかわ支部
辻川 誠(辻川設計一級建築士事務所代表、東京都建築士事務所協会たちかわ支部)
内山 浩一郎(内山建築設計室一級建築士事務所代表、東京都建築士事務所協会たちかわ支部)
取り壊し予定の建物を利用して行われた応急危険度判定模擬訓練。
応急危険度判定模擬訓練に協力
 たちかわ支部では、1997(平成9)年に支部内に「木造耐震委員会」を設置し、既存木造住宅の耐震化へ向けた活動を行っています。
 1995(平成7)年の阪神・淡路大震災以来、木造住宅の耐震化への関心が高まり、その後も、中越地震、中越沖地震、さらに東日本大震災が発生し、既存木造住宅の耐震化に向けての市民の意識が高まっています。
 2001(平成13)年より昭島市で既存木造住宅に対する耐震診断補助制度が開始され、その後、日野市、武蔵村山市、東大和市、立川市、国立市、国分寺市でも同様の補助制度ができました。たちかわ支部木造耐震委員会では、耐震診断の業務遂行のための調査研究、勉強会を実施し、社会の期待に応えられるよう努力してきました。
 そのような中、2015(平成27)年11月30日に立川市で実施された応急危険度判定実務訓練に協力する機会を得ました。これまで多摩地区では、2003(平成15)年10月に都営村山アパート内で、建て替え予定の戸建て住宅を一部壊して建物の傾斜を測定しながら建物の被災度を示す判定カードを貼り付けていくという東京都応急危険度判定模擬訓練があり、たちかわ支部(当時は西部支部)からも担当委員がこの訓練に参加しています。
 今回の訓練は、立川市応急危険度判定模擬訓練として立川市内で開催されました。立川市職員と支部会員のほか、日野市の職員と立川市内に在住在勤の建築士も参加しました。
 訓練に先立って、市の施設において立川市の担当職員より、応急危険度判定員制度と訓練の内容についての説明がありました。訓練は取り壊し予定の2階建ての木造建物を利用して実施されました。
 ひと通り模擬判定が完了した時点で、現場での意見交換を行った後、市の施設に移動して講評が行われました。判定結果のばらつきを少なくすることや、円滑な判定の実施のためには、今回のような訓練の実施や連絡体制の確立は不可欠であると感じています。
 今回の訓練は、取り壊し予定建物の有効利用について支部会員から申し出があったことに端を発し、その活用法の模索を行っていく中で、応急危険度判定訓練への活用に対して建物所有者の快諾をいただいたことにより実現したものです。
 当日は、訓練終了後に、訓練に参加した支部会員有志により、建物の壁下地材の仕様や取り付け釘の種類の調査および基礎の調査などを行い、今後の耐震診断業務に役立てるための調査資料を収集しました。
たちかわ支部木造耐震委員会の活動
 支部内に木造耐震委員会が設置されてから、これまでに実施された活動としては、定期的な委員会の開催、振動台体験やパソコンを使用した耐震診断研修会、木造住宅耐震無料相談会などがあり、行政主催の耐震セミナーへの講師派遣協力など、行政との連携も行ってきました。今年度も2015(平成27)年10月に国立市と日野市で木造住宅耐震無料相談会を実施しています。また同年12月に市民向けの昭島市耐震セミナーへの講師派遣も行いました。
 今後も、委員のスキルアップおよび行政との協力関係を通じて、木造住宅の耐震化へ向けて力を注いでいきたいと考えています。
木造耐震委員会のこれまでの活動。
日野市での木造住宅耐震無料相談会。
辻川 誠(つじかわ・まこと)
辻川設計一級建築士事務所代表、(一社)東京都建築士事務所協会・木造耐震専門委員会・協力委員、元副支部長
1962年 東京・昭島生まれ/サンフォルム設計事務所勤務を経て、1992年 辻川設計開業
内山 浩一郎(うちやま・こういちろう)
内山建築設計室一級建築士事務所代表、(一社)東京都建築士事務所協会・副支部長・ホームページ専門委員会・委員
1968年 愛知県生まれ/有村建築設計事務所勤務を経て、2003年 内山建築設計室開業
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