「新構造標準図」2021年版について
藤村 勝(東京都建築士事務所協会構造技術専門委員会委員長)
図1 建物規模と構造種別
表1 建築確認に必要な構造図の主な内容
表2 主な改訂内容
構造標準図の必要性
 国内の建物は、社会のニーズとともに大規模化と高層化が進み、図①に示すようなスパンと階数に応じて様々な構造種別と構造形式が採用されている。一方、これらの設計に用いる構造計算方法も種類が増え、2007年の構造計算の厳格化に向けた建築基準法施行令の改正においては、1次設計と2次設計の要否とその計算方法が詳しく定められている。この様に複雑化した建物と厳格化した設計法に対して、設計の効率化と設計品質の確保を図るために、仕様書を含む標準図の役割は重要なものとなっている。
 建築基準法施行規則では、建築確認申請時に表1に示す図書の種類と明示すべき事項を定めている。RC造では使用構造材料一覧表として材料種別、骨材、水、混和材料が、施工方法等計画書としてコンクリートの試験方法、調合、養生、型枠の取り外し時期などの明示が求められており、これらは標準図に記載することが一般的である。
新構造標準図2021年版の発行
 一般社団法人東京都建築士事務所協会が旧来から発行してきた新構造標準図(構造設計特記仕様および標準図)は、建築基準法施行規則で求められている構造図での明示事項を網羅するとともに、一般社団法人日本建築学会発行の鉄筋コンクリート構造配筋指針や実務で汎用的に用いられてきた仕様に基づき作成されており、都内だけでなく広く全国で用いられている。Fc18~Fc60の設計基準強度のコンクリートに対応できる仕様として、2015年に東京都建築構造行政連絡会の監修を得て発行したが、今般本標準図の利用者および他協会からの要望を踏まえて仕様の見直しを行い、新たに監修を受け直して2021年版として発行することとなった。
 標準図の構成は新構造設計特記仕様2枚、新鉄筋コンクリート構造配筋標準図3枚、鉄骨構造標準図2枚、壁式鉄筋コンクリート構造標準図2枚の合計9枚で構成されており、解説付きである。ダウンロード販売で、当協会のホームページから購入できる。なお、2014年版以降の新構造標準図を既に購入している方は、無料で最新版をダウンロードすることができる。今回の改訂の概要を表②にまとめる。
藤村 勝(ふじむら・まさる)
東京都建築士事務所協会構造技術専門委員会委員長、元一般社団法人東京都建築安全支援協会一級建築士事務所
1949年 長野県生まれ/1972年日本大学理工学部建築学科卒業後、竹中工務店東京本店設計部構造グループを経て現職
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