年頭のご挨拶
ポストコロナに向けて前進を
児玉 耕二(東京都建築士事務所協会会長、一般社団法人日本建築士事務所協会連合会会長、江東支部、株式会社久米設計)
 あけましておめでとうございます。
 会員、並びに賛助会員の皆さまにおかれましては、心新たに、今年こそ良い年になりますようにと祈念する気持ちで新年を迎えられたのではないかと思います。コロナ禍はいつまで続くのかとの心配もありますが、ポストコロナに向け希望をもって前に進みましょう。

 昨年も自粛やイベント中止の連続でしたが、さまざまな工夫をして活発に活動を続けてまいりました。建築ふれあいフェアは新宿西口でのリアルな開催に代えてWeb配信を行いました。コロナ禍でも懸念される自然災害を想定し、避難所のあり方を問う「避難所モデルプラン」のパンフレットを作成して、行政の担当者や市民に提供し、専門家としての社会貢献の協会活動を大いにアピールすることができました。

 また、Web会議や在宅勤務を前提とした業務態勢が整ったようにみえますが、今、コミュニケーションのあり方が根底から問い直されています。当協会も支部のさまざまな会議や本部の委員会、理事会等、目的に応じてWeb主体がいいのか、対面主体がいいのかを見極めて会議のあり方を見直す必要があります。特に29人の支部長が集まる支部長会議は、情報伝達の効率性だけでなく対面会議の良さを見直し、コミュニケーションの質を上げる工夫も必要であり、今年は見直しを進め活性化を図りたいと考えています。

 建築設計界では、BIMの進展による設計プロセスの変化や、Web活用による業務のデジタル化が急速に進んでいます。建築設計監理契約に求められる重要事項説明ではオンライン説明が可能となり、建築士事務所の登録業務も4月からオンライン化される予定となっています。当協会でもデジタル化を見据えてデータベースの再構築をすすめているところです。これらの活動によって「今」を乗り越え、協会の未来に向けての礎づくりを進めてまいります。

 また、「カーボンニュートラル2050」を目指してグリーン化が促進され、われわれの業界においてもZEB、ZEHの実現や省エネ推進の加速が求められており、CO2貯蔵につながる木材の活用促進や、建築の長寿命化も進めて行く必要があります。広く業界あげて、身近なところから地球環境保全につながることまで、積極的にグリーン化の推進に尽力してまいります。

 東京建築賞は47年の長い歴史を経て、社会的評価も高まってまいりました。長きに亘って選考委員を務めていただいた栗生明先生をはじめ選考委員の先生方のご貢献に、深く御礼を申し上げる次第です。今年からは選考委員にも少しずつ交代していただき、選考委員会の委員長には千葉学先生に就任いただくこととし、応募のデジタル化や審査方法の工夫も加えて、新たな一歩を踏み出そうと考えています。建築賞の意義をより高め、当協会の存在感を高めてまいります。会員の皆さまの積極的応募を期待しております。

 2年続けて日事連全国大会は中止を余儀なくされましたが、今年こそ建築士事務所全国大会を3年ぶりに開催できることを心より願っております。次の全国大会が日事連の将来発展に寄与する歴史的大会になるものと確信し、盛大に開催されることを期待しております。また、日事連は今年、創立60周年を迎える節目の年となります。先輩の方々が築かれた日事連への信頼を礎に、今後さらに活動の推進に努めてまいります。60周年記念誌の発行や記念式典を企画しており、この機会に次の10年を見据えて日事連の将来ビジョンを議論し会員で共有していきたいと考えております。
 建築設計界は大きな転換期であり、困難な課題を数多く抱えていますが、日事連がリーダーシップを発揮して重責を担い、今後とも建築設計界の発展に寄与していく所存であります。

 結びに、会員の皆さまのご健康と益々のご活躍を祈念申し上げ、当協会の活動活性化と発展へのさらなる協力ご支援をお願いして年頭の挨拶といたします。
児玉 耕二(こだま・こうじ)
東京都建築士事務所協会会長、江東支部、株式会社久米設計
1951年 宮崎県生まれ/東京大学大学院修士課程修了/1976年株式会社久米設計入社/同取締役副社長を経て現在、同顧問/2017年11月に一般社団法人東京都建築士事務所協会会長に就任