(一社)東京都建築安全支援協会との業務統合について
児玉 耕二(一般社団法人東京都建築士事務所協会会長)
 コロナ禍もひと段落となり、会員の皆様には本格的に事業活動を再開され、アフターコロナに向けて新たな一歩を踏み出された方も数多くいらっしゃると思います。転換期の今、耐震改修が進むにつれ社会のニーズは新たな展開を見せており、社会資源の有効活用に向けたコンバージョンやグリーンイノベーションが叫ばれ、建築設計界においても大きな課題となっています。当会も社会ニーズの変化に対応し、必要な改革改善を進め未来を見据えてさらに前進する所存です。
安全支援協会について
 当会には関連団体として(一社)東京都建築安全支援協会(以下、安全支援協会)がありますが、ご存知でない方もおられると思いますので以下に説明します。
安全支援協会は、平成20(2008)年に、東京都住宅供給公社(略称:JKK東京)からの公社住宅および都営住宅の耐震診断・改修関連業務を受託することを目的に設立され、当初は年間10億円程度の業務を受託し会員事務所に再委託して業務を実施し、時代のニーズに対応し、社会に対しても当会会員に対しても大きな貢献をしました。
 その後、これらの業務が急激に減少し、平成24(2012)年ごろからは、当会からの業務委託も受けて運営する形となり、当会と表裏一体で活動してきました。近年は、JKK東京等からの耐震改修業務がさらに減少したことに伴い、当会からの業務委託を主な収入源とした運営へシフトし、現在に至っています。
 安全支援協会理事会では、今後の運営、そのあり方について議論がなされ、当協会への早期の業務および職員の移行が望ましいとの結論に至りました。当協会の対応方針を伝え、令和3(2021)年10月7日安全支援協会の総会が開催され、解散が決議され、同時に一級建築士事務所の登録を抹消することになりました。なお安全支援協会の理事および監事は、両協会の協定に基づき6名すべてが当会からの推薦派遣であり、安全支援協会会員はその6名です。
業務統合について
 当会理事会において審議を行い、安全支援協会を統合する対応方針を決議し、このたび安全支援協会の解散決議を受けて、業務統合を行うことにしました。統合の主たる目的は当会と安全支援協会とが一体となり、耐震改修関連業務のノウハウや経験実績を集積し、会員サービスの向上を図り、将来への技術継承と人材育成に努めることであり、両協会にとって前向きでサステナブルな組織体制づくりを目指すものです。当会と安全支援協会は表裏一体の関係で運営されてきましたが、より緊密化して業務統合し、技術継承に加え将来の人材育成も含めた組織づくりを行います。
 業務統合の結果として安全支援協会は解散となりましたが、統合した組織として今までと同様に会員事務所への技術サポートや設計監修を行い、会員事務所の受注を支援協力していく方針には変わりなく、JKK東京等からの今後の依頼も受託し協力していきます。
(仮称)構造技術センターの設置について
 業務統合に伴い、組織として、当会内に(仮称)構造技術センターを設置することにしました。このセンターは、これまで当会の各委員会活動で得られた知見に加え、安全支援協会が培ってきた技術の中で得られたノウハウを継承・統合するとともに、これからの時代を担う人材の育成も行う、まさに「技術の総合センター機能」を担ってもらいたいと思っています。センターが、将来に向けて会員の皆様へのサービス向上につながるものと期待しています。

 当協会は、運営の選択と集中を行いながら、将来への継承発展を目指します。今回の組織統合改革が、会員の皆様のご協力で未来志向の新しい一歩を踏み出すものとなるものと確信しています。
 会員の皆様のご理解とご支援をよろしくお願いします。
児玉 耕二(こだま・こうじ)
東京都建築士事務所協会会長、江東支部、株式会社久米設計
1951年 宮崎県生まれ/東京大学大学院修士課程修了/1976年株式会社久米設計入社/同取締役副社長を経て現在、同顧問/2017年11月 一般社団法人東京都建築士事務所協会会長に就任