社労士豆知識 第54回
最新法改正情報:育児・介護休業法(その1)──男性版産休?! 男性の出生時育児休業について
松本 亜希子(松本社会保険労務士事務所)
 男性の育児休業取得を促進する内容を盛り込んだ、改正 育児・介護休業法が令和3(2021)年6月9日に公布されました。今回は、男性の育児休業の分割取得についてお伝えします。
(1)女性の産後休業期間に合わせて、男性も柔軟に取得しやすい「出生時育児休業」を新たに創設
① 休業の申出期限は2週間前までに短縮
 これまでは1か月前までに休業の申し出をする必要がありましたが、早産の場合に育休が取得できないケース等があった為、改正されました。
② 2回まで分割して取得できるように
 産後8週間以内に、計28日まで、2回に分けて、男性が育児休業を取得することができるようになりました。
③ 休業中に就業することが可能に(労使協定の締結が必要)
 労働者と事業主との個別合意、事前調整等の条件を満たした上であれば、一定の範囲内で休業中に働くことができます。就業できる日数の上限は、休業期間中の労働日、所定労働時間の半分を目途に定められる予定です。
 ただし育児休業中は就業しないことが原則です。
 就業可能な日を申し出るよう、事業主から労働者に対して一方的に求めるようなことは認められないので注意が必要です。
(2)(1)とは別に、育休の取得が2回まで可能に
 (1)の②では産後8週間以内に2回まで育休取得が可能になると説明しました。その2回とは別に、原則子が1歳(※1)に達するまでに1回取得できていた従来の育児休業を、2回に分けて取得することが可能になりました。つまり、産後8週間までで2回、その後1歳に達するまでに2回、男性は最大4回まで育児休業を取得できるようになったということです。
 一度の長い休業よりも、短期間休業を複数回取得する方が利用しやすいという人にとっては、選択肢が広がります。また、子の保育園入園時の「慣らし保育」や女性の職場復帰のタイミングに合わせて男性が休業すれば、負担を分散することができる等のメリットがあります。(※1 子が保育園に入所できない場合等は最長2歳まで延長可能)

 次回も改正点の続きをお伝えしていきます。
松本 亜希子(まつもと・あきこ)
社会保険労務士、松本社会保険労務士事務所代表
大学卒業後、旅行会社勤務(3年)、カリブ海でダイビングインストラクター(4年)、帰国後は建設業界を中心に総務の仕事に約10年携わった後、社労士資格を取得して開業/社労士として、男子2人の母として、毎日奮闘中
カテゴリー:建築法規 / 行政
タグ:社労士