空き家利活用推進協議会研修会開催
南部支部|令和3(2021)年7月6日@調布市文化会館 たづくり会議室
比留間 力三(東京都建築士事務所協会南部支部、比留間工務店一級建築士事務所)
研修会風景。(撮影:石塚 武志)
 平成28(2016)年に発足した南部支部空き家対策推進協議会は、空き家の利活用に向けて求められる建築士の業務について研究を重ね、テリトリーの自治体にさまざまな業務提案を進めてきた。現在では各自治体が進める空き家対策協議会に会員を派遣するとともに、相談会等にも参加している。
 昨年の「調布市の住まいの未来相談事業提案」では当協議会の案が採択され、本年度よりスタートしているものの、コロナ渦のため具体的なイベントは開催されていない。また、同事業に求められる相談員のスキルアップについては未経験の分野も多く、限られた時間(予算も)の中で取り組み中である。
 昨年度の研修会は、建築基準法改正「用途変更等緩和」について調布市建築指導課より担当を招いて用途変更の手続きに関する見解等をうかがい、小規模住宅の空き家転用等についての留意事項や可能性について理解を深めた。
 今年度は譲渡所得税制や住宅セーフティーネットに関する改修補助制度等について研修を計画しており、第1回を、7月初旬に譲渡所得の控除特例その他をテーマに開催した。施設側の指導もあり、出席者数2倍の広さの会議室を確保して十分な感染症対策を行った。
 参加者はゲスト2名(税理士、家屋除却の有害物質処理専門業者)、南部支部会員2名、支部空き家対策専門委員10名となった。研修会のテーマや内容は、以下の通りである。

1. 各市の空き家対策協議会等に参加している各委員より各市の進展状況の定期報告、調布市採択事業「住まいの未来相談窓口事業」の現状報告を行った。
2. 空き家相談のスキルアップのために様々な情報(東京都の相談事例や、新聞記事等)をもとにとり巻く問題点や課題について現状確認を行った。譲渡所得3千万控除の適用案件についての実例報告(担当事務所:甲田建築事務所)により耐震診断、改修の証明書の発行に至るまでの経緯を詳しく解説聞き、出席頂いた税理士にも質疑応答に対応頂き理解を深めた(住まいの未来税務相談メンバーによる協力参加)。
3. 除却工事の際に対策が必要となる「石綿障害予防規則」が強化改正され、注意点について解説を受けた。指定建材の事前調査、届け出、加工、除却作業について有資格者、隔離方法、記録保管その他について理解を深めた(住まいの未来除却相談メンバーによる協力参加)。
4. 最後に、自治体が抱える空き家問題に対する解決策の提案や、空き家所有者への助言、提案の方向性としての4項目の素案が出された、今後もさらに理解を深めて展開する予定である。
比留間 力三(ひるま・りきぞう)
東京都建築士事務所協会南部支部、比留間工務店一級建築士事務所