会長就任挨拶
児玉 耕二(東京都建築士事務所協会会長、江東支部、株式会社久米設計)
 このたびは令和3、4年度も引き続き会長に就任することになり、たいへん光栄に存じますとともに身の引き締まる思いであります。これからも協会の未来を考えながら日々チャレンジの気持ちで職責に取り組み、会員の皆さまの期待に応えるべく努めて参ります。
 新型コロナウイルスの感染はなかなか収束に向かわず、感染リスク回避の自粛の日々が続いています。Webでの会議やテレワークが常態化し、私たちの生活も仕事もWithコロナの新しいやり方へと変容してきています。一方でコロナ禍をきっかけとしてさまざまな課題が顕在化し、変化対応が加速され、今後の業界発展、協会活動の活性化に向けての対策を着実に進めておかねばならない時でもあります。この機会に積極果敢に挑戦しピンチをチャンスに変え、未来を見据えて設計業務も働き方も大きな変革をすることが必要であると感じています。当会としては、中長期的視野に立っての業務改革や、会員への技術知識の研修など山積みする課題に積極的に取り組んで参ります。
 建築設計界では、今後BIMの進展による設計プロセスの変化や、Web活用による業務のデジタル化が急速に進むものと思われます。政府はデジタル庁を令和3(2021)年9月に発足させる予定であり、東京都も今年(令和3/2021年)4月にデジタルサービス局を立ち上げました。官民問わずデジタル化の流れは加速されています。当会でも今後に備えてデータベース構築プロジェクトチームを立ち上げ協会の迅速な活動を支えるデータベース構築を推進中です。これらの対策を実施して今を乗り越え、協会の未来に向けての礎づくりを進めてまいります。
 昨年(令和2/2020年)10月、菅義偉総理は2050年までにカーボンニュートラルを実現するとのコミットメントを発し、政府では省庁が連携して脱炭素化社会実現に向けて邁進中です。「カーボンニュートラル2050」を目指してのグリーン化が促進され、急ピッチで法改正や制度改正が行われるものと思われます。われわれの業界においてもZEB、ZEHの実現や省エネ推進の加速が求められており、今年4月からは改正省エネ法が施行され省エネの徹底普及が急がれるところです。広く業界を挙げて、建築士会やJIAとも連携し、またTARCのメンバーとも協力し、身近なところから地球環境保全につながることまで積極的にグリーン化を推進してまいります。
 建築士事務所の開設者の中にはリタイヤの時期を迎えている人も少なくなく、また建築設計界を目指す若者は減りつつあり、建築士事務所の数も減少の一途を辿っています。事業継承や人材育成のためにマネジメント支援センターでは設計図書保存サービスに加え建築士事務所経営の基本に係わる研修も開始し、今後はさらに取り扱うアイテムを増やしサービス充実に努めていきます。このような活動が当会の魅力となって会員増強にも役立ち、当会の組織強化にもつながるものと確信しています。先々は、次世代の育成強化や、これから起業を目指す若者を支援する活動に拡大していくことで、建築設計界の未来につながるものと期待しています。
 建築設計界は大きな転換期であり、困難な課題を数多く抱えていますが、当会がリーダーシップを発揮して重責を担い、今後とも建築設計界の発展に寄与していく所存であります。会員の皆さまの、これまでにも増しての叱咤激励、協力支援のほど、切によろしくお願い申し上げます。結びになりますが、皆さまの益々のご健康とともにこれからの日々が幸多きものとなることを祈念申し上げ、会長就任の挨拶とします。
児玉 耕二(こだま・こうじ)
一般社団法人東京都建築士事務所協会会長、一般社団法人日本建築士事務所協会連合会会長、江東支部、株式会社久米設計
1951年 宮崎県生まれ/東京大学大学院修士課程修了/1976年株式会社久米設計入社/同取締役副社長を経て現在、同顧問/2017年11月に一般社団法人東京都建築士事務所協会会長に就任